親の会連絡会

年4回開催されている親の会連絡会は、2015年7月4日で100回目を迎えました。
親の会連絡会定例会議の開催のほか、研修旅行、学会などにおける展示・広報活動などを行ってます。

親の会連絡会ってなに?

親の会連絡会とは組織や機関の名称ではなく、病気や障害のある子をもつ親たちを主な構成員として組織された団体(=「親の会」)が、相互交流や情報交換を目的として定期的に会議を開いており、その会議の名称をこのように呼称しています。 現在、親の会連絡会には計59団体(2017年4月20日現在)が参加しており、年4回の定例会議の開催、研修旅行、学会などにおける展示・広報活動を行っているほか、各会の自由意志にもとづいて、特定の問題に対するワーキンググループを立ち上げ、行政や社会への働きかけを行うこともあります。

◇「親の会連絡会」について  MS-Word (DOC) / PDF

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親の会連絡会親の会連絡会・研修

小児難病親の会ハンドブック

このたび「小児難病親の会連絡会ハンドブック2015」が赤い羽根共同募金の配分金にて制作され、全国の保健所や養護学校、小児科を有している病院などに配布されました。 このハンドブックには、親の会連絡会に参加している各会の活動内容や連絡先などが紹介されています。

定例会議の開催、国や地方自治体への提言

親の会連絡会研修旅行の開催

親の会共同アピール~難病のある子どもの、より良い暮らしのために~

親の会連絡会

はじめに

病気や障害のあるなしにかかわらず、子どもは健全に育成されなくてはなりません。しかし、難病のある子どもは日々病気と闘いながら生活しています。彼らが基本的人権を持つ人間として尊重され、子どもから大人へと成長する過程において、高いクオリティ・オブ・ライフ(QOL=いのちの輝き)を維持していくためには、いわゆる「健常児」に対する以上のに、社会からのきめ細かな配慮が必要となるのは当然のことと言えましょう。

難病にかかわる問題は、本人やその家族のみの問題ではありません。多くの人達は偶然にも難病と無縁なところで暮らしています。しかし、難病問題とはその当事者達に限定された問題ではないのです。というのも、この社会の中で難病児・者が現実に置かれている環境とは、その社会の総意としての人間観や生命観を反映するものと言っても過言ではないからです。

つまり、難病問題は当事者以外には直接関係のない問題として「見え」ながらも、実はこの社会を構成するすべての人たちに関係する問題として「存在」するものなのです。同時代に生きる人間すべてが難病を直視し、それについて深く考えなければ、難病のある子どものQOL向上は望めませんし、また社会に暮らすすべての人のQOL向上もないと考えるべきでしょう。

私達親の会連絡会は、現在難病のある子どもが直面し、改善を求めている問題点を「医療」「教育」「福祉」「自立支援」というカテゴリーに分類し、ここに列記いたします。関係各位のご理解、ご検討を求めるとともに、これを読むあらゆる方が社会生活を送る中で、少しでも力になれる具体的場面があるならば、アクションを起こしていただきたいと願う次第です。

※クオリティ・オブ・ライフ=QOL / 通常は、「生活の質」とか「人生の質」と訳されますが、子どもの場合、私達は「いのちの輝き」と訳しています。

医療

難病のある子どもは、病気を治し、元気に社会生活を送りたいと強く願っています。
近年、医学の進歩は目覚ましく、根治療法や対症療法の確立、また、様々な機能回復療法の進歩に寄与することも多く、QOL向上の大きな希望となっています。しかし、多くの場合、闘病は長期化し、入院あるいは通院に費やす時間が長くなることは避けられません。したがって、病院が「治しながら育てる」場として大きな役割を担うことになります。難病のある子どもの健全な成育を支援できる医療体制の実現を望みます。

1. 病因の解明と治療研究の推進

診断法や治療法が確立され、それらが普及していくためには、病因の解明と治療研究の推進がとても重要です。特に患児数の少ない難病では、公的な公的な研究支援体制も必要と考えます。

2. 医療制度の充実

長期間にわたる闘病生活では、体だけでなく、心にも大きなダメージを受け、さらに経済的にも追い込まれていきます。治療により病状を改善するだけでなく、患児と家族の精神的なケア、そして、医療費の公費負担など、肉体的・精神的・経済的な負担を軽減してくれる医療制度の充実が不可欠です。

教育

子どもにとっての「教育」とは、単に学問的な知識を得るためだけのものではありません。親から離れて集団の中で様々な経験を重ね、自己を確立すると同時に他を認めることを学び、社会の中で自立していくために欠くことの出来ない重要な場であり時間なのです。

難病のある子どもにとっての学校は、病気を「治しながら学ぶ」場です。そのため、施設や設備など病児を受け入れるためのハード面の改善とともに、難病と難病のある子どもの実態を理解した教育関係者や介護職員の配置、病児の状態に応じた柔軟な学習プログラムや制度の運用など、ソフト面の対策が必要です。

「医療的ケア」の問題も、子どもの人権と自立、社会参加の機会均等の考慮など、広い視野を持った上で問題解決にあたる必要があります。

病気や障害の表面だけにとらわれない、「子どもの人権」の視点に立った教育制度の実現を希望します。

1. 学校選択の権利を難病のある子どもとその親が有すること

学校選択(普通学校、養護学校等)に関しては、教育委員会主導の就学相談による振り分けではなく、最終的な決定権が親にあることを確認し、本人や親が選択した学校では、その子に必要な条件整備がなされることを望みます。

2. すべての学校現場において親の付添を必要としない条件整備の確立

長期間にわたる闘病生活では、体だけでなく、心にも大きなダメージを受け、さらに経済的にも追い込まれていきます。治療により病状を改善するだけでなく、患児と家族の精神的なケア、そして、医療費の公費負担など、肉体的・精神的・経済的な負担を軽減してくれる医療制度の充実が不可欠です。

3. 入院児の保育・教育の場と、人材(保育士等)の確保、及び学籍の保全

長期入院を余儀なくされる病児のため、院内学級の設置、訪問教育の推進、学齢前の幼児に対する保育の場が整備され、保育士などの人材が配置される必要があります。また、普通学級に在籍する病児が学籍移動することなく、院内学級で教育を受けることが出来る対応を要望します。

4. 高等学校への進学など、義務教育後の教育の場を確保する

難病のある子どもにも、健常児と同様に、平等な進学・進級の機会が与えられるように必要な配慮がされるべきです。

5. 難病と難病のある子どもの実態を理解するための教育関係者の研修

外見上は健常児とほとんど変わらない難病のある子どもや、難病そのものを正しく理解するため、教員のみならず、教育関係者全員が必要な研修を受けるべきだと考えます。

6. 病児の状態に応じた柔軟な学習プログラムの普及

運動の制限を余儀なくされている難病のある子どもに対する体育の授業について、病児の状態に応じた柔軟な学習プログラムの提供、および健常児を含めた相対評価とは違う価値基準での評価が行われることを望みます。

福祉

難病のある子ども達は、さまざまな要因から、家族や友だち、地域の人たちと一緒に過ごす時間や機会に制約を受けがちです。また長期にわたる入院・通院生活は、その家計を圧迫し、医療機関への支払の他にも多額の経済的な負担が発生しているのが現状です。難病のある子ども達やその家族が安心して生活できる日常的な福祉体制の構築により、物理的・社会的・制度的・心理的障壁のない社会を実現しましょう。

1. 在宅福祉、在宅医療制度への支援体制整備

自宅における長期の療養生活を支えるためには、ホームヘルプサービス、ショートステイ、訪問看護婦の派遣など患児を安心して療育するための公的な支援体制が欠かせません。

2. 医療費の補助、手当の充実、税の控除・減免等経済的な支援

難病のある子ども達を育てる家庭の経済的な負担は医療機関に支払う医療費だけに留まりません。入院や通院にともない、二次的に発生する各種費用や医療・福祉機器、消耗品などへの支出も家計を圧迫しています。

3. 難病のある子を持つ家族を対象とした相談場所、機関の設置

難病のある子との暮らしにはさまざまな不安がつきまとい、また特に稀少な病気である場合には患者、家族は孤立しがちです。病院内外を問わず、悩みを相談できる場所が必要であると考えます。

4. 住む地域よって不利益を蒙らないような、制度の地域間格差の是正

福祉制度には国が主体のもの、地方自治体が主体のものなどさまざまなものがありますが、住む地域によって受けられる制度の格差は驚くほどの開きがあります。日本のどこに暮らしていても、均質な福祉サービスが受けられなくてはいけません。

自立支援

難病のある子どもが社会に出て生活を営むためには、健常者と同様に就労によって収入を得なければなりません。就労は単に経済的自立の手段ではなく、「社会で共に生きる」という自己実現の手段としての意義が大きいのです。しかし現実には難病があるが故に、就労の機会すら得られない状況もあります。就労がきわめて困難な状況にある難病患者がいることも事実ですが、多くの難病患者には仕事を行う能力があり、職に就く機会を求めています。行政および企業は難病患者に就労の場を積極的に与えるよう、そして法律により難病患者が就労できるよう、そしてQOL向上のために以下のことを実現させましょう。

1. 難病者を対象とした職業訓練機関の設置

就労可能な難病者が、自立のための技能・技術等を身につけることは大変重要です。一定の医療管理が保証された難病者を対象とする職業訓練機関の設置を望みます。

2. 雇用斡旋機関の設置(難病者対象就職説明会の設置)

障害者手帳を持たない難病者は職業安定所や企業を直接訪れても、なかなか仕事に就くことができません。行政は難病者を対象とした就職説明会を適宜に開催し、多数の企業を誘致し、積極的に難病者を雇用するよう指導しましょう。

3. 難病者雇用企業に対する助成金制度の創設

難病者が就労しやすい労働条件の整備のために、行政は難病者を雇用する企業に助成金を拠出し、企業が難病者を雇用しやすい環境を作りましょう。

4. 難病就労者の通院休暇制度の設置

難病就労者は治療のために通院が必要です。有給の通院休暇制度を設け、難病就労者の安定した就労環境を築きあげましょう。

5. 医療費の公費負担

難病児は成人に達するとともに、医療費の公費負担制度(小児慢性特定疾患治療研究事業)の対象からも外されてしまいます。就労困難な難病者はもとより、就労しているものにおいても自立のための負担は多大なものであり、成人後の医療費の公費負担制度がきわめて重要であります。

おわりに

以上、私たち小児難病親の会からの提言をさせていただきました。便宜上、「医療医」「教育」「福祉」「自立支援」という四つのカテゴリーに分けてはいますが、難病のある子ども達をとりまく環境についての問題は、これらの垣根をまたぐものも少なくありません。

長期間にわたって入院加療を余儀なくされる子ども、また、難病であっても病院を出て在宅生活を送る子どもはたくさんおり、家族だけでは抱えきれない問題が決して少なくありません。それらを少しでも解消するためには、例えば、保健所を中心とした地域のネットワーク作りや、難病のある子どもの療育環境の整備、患児と家族への精神的ケアの充実などが必要であり、それは医療・教育・行政の各分野で働いておられる方々の連携なくしては実現しません。加えて、私企業の支援や、難病のある子どものいる家庭のご近所の方々、お友達の温かい眼差しと援助も大きな力として作用します。

病気や障害のある人もない人も手を取り合って、各々がたったひとつしか持たない「いのち」の、より豊かな輝きを手に入れようではありませんか。

平成13年10月